その環境を楽しみ、成長するということ

森田 真人(工学院大学助教:2010年修士入学)助教

私は地方の国立大から、応用化学専攻に入学しました。志望研究室には残念ながら受からず、当時全く興味も知識もなかった表面分析の研究をすることになり、散々悩み、大学のブランド名に負け、入学を決意しました。 しかしそこには、「周り全てが自分より遥かに優秀、かつ将来に高い意識を持っているバケモノ集団」という、体験したことのない(魅力的な?)世界がありました。戸惑いと不安もありましたが、ここに居れば、能力の底上げができると確信できました。その後は、とにかく貪欲に研究を通して能力を磨いてきたつもりです。その内、表面分析の魅力に取り込まれ、博士まで取得してしまいました。

OBとして、受験生や後輩の皆様へ私が言えることは、その環境を最大限、楽しみ・苦しみ・利用して下さいということです。現在、私は他大学で応用物理学の教員をしています。もちろん研究分野自体は学生時代と重複している部分は多いですが、全く違う分野を勉強し、研究する必要もありました。そして、自身の能力以上の仕事量を持ち、毎日精一杯で生きています。しかし、そんな状況だからこそ成長があると思います。学生時代にも、何度か本当に大変だった瞬間がありました。しかし、その瞬間を共有できるメンバーがいて、理解し見守って頂ける先生がいました。そして、乗り越えたときの達成感は、表現できない程のものでした。学生時代の様々な苦しくて楽しかった思い出が蘇ります。 今自分がいる環境を最大限に苦しみ楽しみ利用することが、人生を豊かにするものだと思います。そういう意味で、応用化学専攻には、少なくとも私にとって申し分のない環境がありました。この専攻で過ごした5年間は、今の私の芯の部分を形成し、人生を豊かなものにしてくれました。