2024年度ご家族のためのオープンキャンパス 〜応用化学科/専攻へようこそ〜【開催レポート掲載】

 東京大学工学部・工学系研究科 2024年度ご家族のためのオープンキャンパスでは、各学科・専攻の見学ツアーを開催いたします。応用化学科/専攻の見学ツアーにぜひご参加ください。普段見ることができない、学部生・大学院生の研究・教育生活を実感できる楽しいツアーにしたいと思い、準備を進めています!
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/parents/open_campus

【開催場所】 工学部5号館1階52号講義室
【アクセス】 こちらをご参照ください
【開催時間】 2024年5月11日(土)15:00-17:00
【定  員】 100名
【内  容】 応用化学科/専攻の全体説明、修士課程1年生からの研究および研究生活の紹介、その後、工学部3号館と5号館の各研究室(植村研、金研、西林研、野地研、柳田研、山口研)の見学を実施します。
【お問い合わせ】 sinfurikouhou_i☆appchem.t.u-tokyo.ac.jp
(問い合わせの際は、アドレス中の☆を@に置き換えてください)

* 本webサイトは、開催当日にむけて、詳細情報をアップデートしてまいります。
* 本オープンキャンパスでの見学ツアーは、4月8日(月)10:00をもって締め切らせていただきました。多数の参加登録をいただきましてありがとうございました。

【開催レポート】
定員100名のところ、90名ものご家族の皆様にご参加いただきました。本学科/専攻の研究・教育活動に大きな関心をもっていただきまして、大変ありがとうございます。当日の活動の様子を報告いたします。

はじめに、柳田専攻長の代理で佐藤宗太 特任教授が応用化学科/専攻について紹介しました。最先端研究にも、また、学生の教育にもCharmingな「応化」を、教職員・学部生・大学院生、一同が「謳歌」していることをお伝えしました。

つぎに、大学院修士課程1年生 植村研の松村俊明さんが研究・研究生活を紹介しました。高付加価値なポリマーを生み出す化学の重要性、その研究の楽しさを熱弁しました。
その後、ご参加の皆様に6つのグループに分かれてもらい、工学部3号館・5号館の5つの研究室を順番に見学していただきました。本郷キャンパスには全部で6つの研究室があるのですが、時間の都合上、5研究室の見学でした。希望の研究室を見学できるようにグループ分けしました。

植村研:「ナノサイズの空間を化学する」植村研究室では、多孔性⾦属錯体(MOF)や共有結合性有機構造体(COF)などの分⼦性ナノ空間材料を合理的に作り出し、これらの物質が持つ空間情報を超精細に解読・転写する新しい化学システムの開拓を⾏なっています。見学ツアーでは、北尾岳史 助教と所属学生の案内のもと、実際のMOF材料を顕微鏡で観察してもらいました。

金研:「固体表面上に吸着した分子を化学する」金研究室では、吸着した分子を原子レベルの空間分解能を持つ走査トンネル顕微鏡(STM)で直接観察し、独自に開発した単分子分光手法を用いて分子の反応や光吸収、発光にともなう量子状態の変化を計測することにより、固体表面における分子物性およびエネルギー変換過程の理解と選択的制御を目指しています。見学ツアーでは、數間惠弥子 准教授と所属学生の案内のもと、開発中の最先端STMを見てもらいました。

西林研:「触媒技術に基づくエネルギー資源を創成する」西林研では、アンモニアをエネルギー資源として利用する「アンモニア社会」の実現に必要な次世代型窒素固定触媒の開発を行っています。見学ツアーでは、杉野目 駿 助教と所属学生の案内のもと、窒素ガスの触媒反応を行う、アルゴンガスで満たされたグローブボックス装置を見てもらいました。

野地研:「サイエンスを極め、新技術を開拓する」野地研究室では、ATP合成酵素の1分子生物物理学を主軸として研究を進めています。当研究室は世界で初めてATP合成酵素が回転分子モーターであることを実証して以来、そのエネルギー変換メカニズムの解明と新しいモータータンパク質の創生に取り組んでいます。近年ではATP合成酵素研究の過程で生まれた微小リアクターを用いて、デジタルバイオ計測手法の開発と自律型人工細胞の創出に関するプロジェクトも進行しています。見学ツアーでは、小林稜平 助教と所属学生の案内のもと、ガラス上に作成された微小リアクターとその観察・解析を行う顕微鏡を見てもらいました。

柳田研:「原子や分子を自分の狙った場所に配置して自由に組み上げる究極のモノづくり」に取り組む柳田研では、多彩な物性を示すことで知られ、様々な環境中において化学的安定性に優れる金属酸化物の1次元ナノ構造体(ナノワイヤ・ナノロッド)に着目しています。これら酸化物材料群を原子・分子レベルから構造設計することで、既存の微細加工技術では決して真似することのできない高次酸化物ナノ構造体を創り出し、従来半導体材料やバルク材料では見られない酸化物ナノ構造体ならではの機能物性の実証、ひいては人類の役に立つ産業応用においてグリーンイノベーション・ライフイノベーションを生み出す新デバイス群の提案・実証を目指しています。見学ツアーでは、高橋綱己 准教授と所属学生の案内のもと、分子センサデバイスの作製・評価のための実験装置を見てもらいました。

山口研:「触媒を用いて“グリーンケミストリー”に立脚した,高効率反応・新反応の開発」に取り組む山口研では、特に開発の遅れている触媒酸化反応のための高機能固体触媒の開発に関する研究を行っています。固体触媒の分野に新しい分子論的な設計概念を導入し、独自の視点・手法から創出したナノ構造触媒を用いると,様々な高効率有機合成反応(ワンポット合成を含む)が実現できることを明らかにしています。見学ツアーでは、山口和也 教授と所属学生の案内のもと、触媒開発のための合成実験・分析装置を見てもらいました。