私は現在、東京大学生産技術研究所にて研究を行っています。応用化学専攻では、修士課程から博士課程までの五年間、芳香族化合物キラル会合体の光物性に関する研究を行っていました。応用化学専攻では、新規性・独自性の高い研究テーマに打ち込むことができます。このことは生涯の財産になると思います。
一方、研究を遂行する中で、時として困難が立ちはだかることもあります。しかし、その先には、当初の想定とは異なる興味深い結果(セレンディピティ)が待ち受けることもあります。私自身も博士課程の時、芳香族化合物キラル会合体の超分子キラリティが、当初の想定とは異なる方法で制御可能であるというセレンディピティに偶然遭遇することができました。このような研究ならではの経験は、注意深く、熱心に向き合った結果の産物であり、研究をしていく上での自信になり、売りになると思います。応用化学を学ばれる皆様が、研究に熱中することで想定外の興味深い結果を新たに生み出し、そして今後、一人でも多く、世界で活躍する研究者が増えることを期待したいと思います。