私が応化を選んだ理由

秋吉 一孝(2018年度 博士3年)博士課程

・東大の応化に進学することにした決め手は?
もともと自分が学部時代に在籍していた東京理科大学の工業化学専攻と比較的近い分野で、また自分の興味のある研究室が多い専攻だったからです。また、外部からの入学者が多い点も決め手となりました。

・研究室はどのように選びましたか?
もともと光科学に興味があり、また博士課程へと進学する方が研究室に多かったことも理由の一つでした。 さらに、研究室訪問した際に同じ理科大の、同じ学科出身の先輩がおられて、話を聞けたことも大きな理由でした。

・他大学から進学することに不安はありませんでしたか?
不安しかありませんでした。ただ、元の研究室の教授が退官なさるということもあり、せっかくなら上を目指そうと思い、東大受験を決めました。

・受験勉強で何か工夫はしましたか?
研究室に直接訪問し、内部の先輩方に授業で使用している教科書や過去問を頂いて(注:現在は工学系研究科のHPで配布)、勉強しました。過去問は何年分も解きました。他大学の過去問も合わせて解きまくりました。理科大時代の教授から試験勉強期間を頂けたので、他大学を受験する友人と一緒に答え合わせをしながら勉強しました。
院試は情報戦だと思います。人とお互いに助け合う方が有利なので、先輩方の助けがあり、仲間がいるのは強みでした。

・応化に進学して良かったことは?
グローバルな付き合いが多く持てたことです。外国人留学生の友人も多くでき、苦手だった英語も多少は話せるようになりました。また、研究室がある駒場リサーチキャンパスでは外国人との交流イベントが多く、各国の伝統料理や楽器などに触れられる貴重な体験もできました。

・逆に、たいへんだったことは?
修士2年の中間発表では英語を5分間話す必要があり、これには苦労しました。英語は大の苦手でしたので。大変でしたが今思うと本当に勉強になりました。

・研究室生活はどうですか?
研究室内は研究設備が整っており、また研究室外で装置を借りることもできるので、研究環境は整っています。学生の人数も私立に比べれば少ないので、学生1人1人が主体的に研究をできるよう、きめ細やかな指導が行き届いています。また、研究室の雰囲気が良く、教授やスタッフとの風通しも良く、研究しやすいです。

・旅行や飲み会など、どんな行事がありますか?
新入生歓迎のお花見や夏の研究室旅行など、研究室メンバーと交流する機会も多いです。シーズンごとに飲み会や学会の打ち上げなどもあり、適度に息抜きできる雰囲気で、お酒が飲める機会も多いです。もちろん飲めない人もソフトドリンクで盛り上がっています。

・秋吉さんは応化の修士課程からそのまま博士課程に進学されましたが、進学の動機は?
できれば将来、研究職に就きたいと思ったからです。また研究と共に、教育者としても社会貢献できればと思います。

・博士進学に不安はありませんでしたか?
やはり人生の大きな分岐点ですので、不安はありましたし、今も正直、消えていません。ただ、研究室の教授や家族からの理解を得ることができたことも進学を決める要因の1つでした。 自分がどの程度頑張れているのか、常に不安はありますが、学振の研究員(DC1)に採用されたり、応化の修士論文発表で藤嶋賞をいただいたことなど、客観的な評価をいただけたことが励みになりました。 社会に出てから仕事を中断して博士課程を取り直すという方法もありますが、それにはエネルギーと決意が必要で、自分には継続して勉強した方が向いているだろうと思いました。

・経済面の心配はありませんか?
先ほどもお話ししたように、DC1に採用されたので大丈夫でした。DCに採用されなくても、工学系研究科ではSEUTという制度で補助が受けられるので、それほど心配はありませんでした。

・博士課程でなにが楽しいですか?
修士課程では手探りの状態で無我夢中になって実験をし、客観的に研究を見られませんでしたが、博士課程では勉強してきた分、少しだけ余裕が出て徐々に全体像を見られるようになり、研究が進められるようになっていきました。 他の学生やスタッフの方々とディスカッションしつつ、あれこれ考えながら工夫し、アイデアを実際に試す過程が楽しいです。ただ、アイデアが面白いだけではダメで、どういったことに役立つのか、といったことを日々考える良い訓練になっています。

・実際に進学してみて意外だったことはありますか?
意外と博士課程に進む方が少なかったことです。それでも、他の大学と比べれば多いと思いますが。

・どのような研究をしていますか?ごく簡単に説明してください。
金属ナノ粒子と半導体を組み合わせた、新しいセンサの原理を開発する研究をしています。

・研究は思い通りにいかないことが多いものだと思いますが、そういう時はどうしていますか?
頭を使い、手をとにかく動かしてガツガツ実験するしかないと思います。うまくいかない時は、納得できるまで土日でも研究室に来て実験をすることもあります。ただ、どうしてもやる気が起きないときは思い切って休みます。研究室以外の場所でも息抜きできる趣味を持つことも重要だと思います。

・趣味と言えば、秋吉さんは太鼓の達人だそうですね?
はい、音楽ゲームが好きで、今も息抜きで研究室メンバーと遊ぶこともあります。 腕前は段位道場で7段です。最高難度「鬼」の曲でも大抵はクリアできます。大学生の頃は大会にも挑戦していましたが、最近の難度の高騰にはついていけません…。

・しかも「ラブライバー」だとか。研究がライバー活動の妨げになることはないですか?
…え?研究の方がライバー活動を妨げないか、というご質問ですか…?それについてはスルーということで…(笑)。 東大内にも意外とラブライバーがいて、その人たちとゲームセンターに行って遊ぶこともあります。ライバー活動はもはや生活の一部、いわば「呼吸」のようなもので、大学院での研究活動に支障が出ることはまずありません。また、布教したかいがあり、研究室内でのライバー活動も充実しています。

・最後に、他大学から応化を目指す後輩にアドバイスをお願いします。
大学院選びは皆さんにとっても人生の大きな転機になると思います。色々と不安はあると思いますが、院試のための勉強は、必ず皆さんの力になると思います。皆さんも応用化学専攻に進学され、最先端の研究や優秀な方々との出会いを通じて、充実した大学院生活を送られることを願っています。